「なりたい自分」が今だよくわからない自分

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自分のものさしと社会のものさし。
自分のものさしこそ正しいと思い込むものの、社会のものさしの上で
成功した人に嫉妬と憧れを決して抱かないとは言い切れない自分。
いったい自分とは何に向かっているのか、向かっていきたいのか?
その内容とはちょっとそぐわないかもしれないけど「サイタマノラッ
パー」見ながら作品に没頭するというよりか没頭していき過ぎて
そんなことを考えていた。
「アホだね〜」と鼻で笑えるどころか今だ40にしてそんなことを
考えてしまう自分に「なりたい自分になる」ことの困難さを実感して
います。「なりたい自分」を知るのがまず先だからです。
「サイタマノラッパー」
ここまでなんごとも起こらん青春映画は初めてでした。劇場映画に
しては実に粗雑な作り、しかしその粗雑さは意外にも観る人をもろ
劇中に引きずり込む。こんな青春が観る人全員に当てはまらないとは
思うけど、このごまかしきれない感情は誰もが少しは経験あるはずだ。
映画と平行してそんなこと考えてしまった自分、まさかそんな感情
経験の最中にまだいるのか?。なんごとも起こらない話どころじゃない!
この想いは俺たち自身じゃないか!
気づけば俺たちは成功談を知らないうちにこれでもかと擦り込まれて
いる。日々のセレブの活躍報道、佐野元春司会の音楽番組、村上龍の
社長放談、音楽誌の二万字インタビュー。知らないうちに成功こそが
「なりたい自分」と錯覚してしまうのは無理もない。
餓え続けること。成功者も餓えてこそ成功した。だから成功の善し悪しの
問題じゃなくって、自分が「何に」餓え続けるのか、それなんだと思う。

ラスト場面、胸が苦く焦げるような気持ちなりながらも押し寄せる感情を
抑えるのに精一杯。涙じゃない。これまでなかなかない感情。言ってしま
えば実体験済みにも似た感情。ここでなぜラッパーだったのかも意味を
なしてくる。

ピンク映画終映後、夜の天神シネマ、ハダカのポスターの中、階段を下りて
くシュールさもこの映画にピッタリ。館内のどこかしら人工的な芳香剤的
臭いとどこかしら湿った感。これら非スタイリッシュさこそが超現実的で
苦々しくユーモアを滲み出させるのではないか?

装丁が安いからか陽の当たらない場所で短い上映期間だけど、観るなら
ぜひこのシチェーションで観てほしい。教訓とか感激とかないけど
人間的感情はどの映画よりもあると思います。そして日本語ラップを
ちょっと出来るようになると思います。

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